本日のもくじ
今回はゲノム育種価についてのお話です。
鳥取和牛「ゲノム育種価」って何でしょう?
今月6月3日に鳥取県琴浦町の中央家畜市場で子牛の競りが行われました。
ここで新たに取り入れられたのが、メスの子牛の「ゲノム育種価」の表示です。

鳥取県公式HPより引用 ”鳥取県中央家畜市場”
「ゲノム育種価」とは?
牛からDNAを抽出し、牛の肉質など
(枝肉重量、ロース芯の大きさ、バラ厚、歩留まり、脂肪交雑、オレイン酸、グリコーゲン)の遺伝子情報を4段階のランクで示したものです。
解析された「ゲノム育種価」の情報は、競り市で電光掲示板やセリ名簿に表示されます。
競りでのゲノム育種価の表示は4月から行われ、全国に先駆けて行われています。
なぜ「ゲノム育種価」を表示するの?
2017年に鳥取和牛肉質日本一の種牛「白鵬85の3」が登場し、その優秀な遺伝子を守り、価値を維持していくために「鳥取県産和牛の保護及び振興に関する条例」を制定。
全国で初めて「知的財産」と位置付けた県有種雄牛の遺伝資源の保護に乗り出しました。
こうした背景から、すべての雌の子牛を対象に遺伝子検査を行い、遺伝子能力をデータ化しています。
その結果、「ゲノム育種価」を用いて、子牛の能力を数字で把握し、競り市の売買に生かしているのです。
なお、今回の競り市の子牛の価格は、鳥取県で歴代2番目の606万円(税込)が付きました。鳥取和牛の子牛に対する期待値の高さが表れています。
グリコーゲンは、おしいさに関わる?
ゲノム育種価の遺伝子情報の中で、グリコーゲンが含まれています。
グリコーゲンはお菓子のグリコの名前の由来になった成分です。
主にカキやシジミなどの貝類に多く含まれている糖質です。
身体のエネルギーの成分として機能しており、その栄養豊富な成分を生かすために、グリコが誕生したのは有名な話です。
そのグリコーゲンは健康維持としてだけでなく、「うまみ」に関わっています。
鳥取和牛の研究開発において、オレイン酸、モノ不飽和脂肪酸およびグリコーゲンが含まれることで、この「うまみ」との相関関係がみられることがわかりました。
現在、鳥取和牛の肉質の改良において研究が進められている成分の1つとなっています。
参照資料 鳥取和牛肉うまみ開発試験 https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3030257516
参照資料:最高価格は歴代2番目の606万円 鳥取県の家畜市場で子牛の競り 全国から注目 https://news.yahoo.co.jp/articles/2cc3fd0c1cf74784b9a18c8872687aa3b8fe46be