“あかまる牛肉店が綴る、お肉にまつわるはなし”

お肉屋さんから見た、牛肉仕入れの基礎知識

お肉のこと

今回は少しマニアックなお話になりそうです。先日一頭仕入れで入ってきた枝肉について、仕入れ担当肉お兄さんこと中村さんが「モモ抜けの良い牛となりました」と言っていたのを聞いて、モモ抜けが良いってどういう状態のこと?どこの部位がどの状態だったら良いの?と疑問が出てきたので、枝肉の見方について聞いてみました!

もくじ

 

1.枝肉基礎知識

ロースの断面部分。きれいな霜降りが全体に広がっています。

 

今回の一頭仕入れ枝肉等級:A5 BMS12 性別:去勢 オレイン認定(56.5%)

BMSとは牛肉脂肪交雑基準のことで赤身の肉にどれだけサシ(霜降り)が入っているかによって分けられます。1~12ランク中、12が等級最上となります。
今回の枝肉はA5ランクのBMS12で、雄の去勢牛、しかも鳥取和牛オレイン55に認定されているということを示しています。

ちなみに枝肉とは。
テレビ番組などで肉の塊が吊るされて並べられているのを見たことありませんか?
と畜後にセリがかけられる状態の牛肉のことを枝肉といいます。

 

それでは肉お兄さんに枝肉の見方を教えてもらいましょう!

肉お兄さんこと中村です。主に仕入れの担当、卸の担当をしています。
普段お目にかかることは少ないかもしれませんが、良いお肉をお客様に提供できますように、目を利かせてがんばっています。
肉おじさんと一緒にお肉をカットすることもあります。よろしくお願いします。

 

2.枝肉のどの部分をみる?

人にもよりますが、以下の部位を見ていきます。

  • ロース断面部分
  • バラ(フランク)の部分
  • モモ(寛骨(骨盤)の部分)

3.それぞれの見方は?

<ロース切断面>
・芯の大きさ・霜降りの入り具合(きめ細かい霜降りが基準としては上に上がってきます。)
・歩留まり(小さな骨や腱、筋などを取り除いた、枝肉全体の中で食用にできない箇所の大小を見る)
・写真に入っていないですが、バラの切断面の大きさ霜降りの入り具合をみます。

<バラ>
フランクの大きさ・張り・色を見ることが多いです。

<モモ>
寛骨(かんこつ)の部分の霜降りの入り具合・モモの部分も同様でみます。

<全体>
枝の大きさ・胴回りの長さ・モモの張りをみていきます。

 

4.モモ抜けが良いとは?

一般的にモモ抜けが良いというのが、ロースからモモにかけてきめ細かく霜降りが入っていることを言います。鳥飼畜産では去勢の方がモモ抜けが良い牛が多いかと思います。
※去勢する理由は肉に雄臭が残るのを防いだりするため。去勢していない雄の牛肉は一般的に食用では出回っていません。

実際に枝肉を見てモモ抜けが良さそうだなと思っても、精肉にした時にそこまでだなという時もあります。※逆の場合もあります。

自分が好む枝にはなりますが、良いお肉の枝肉とは

  1. ロースの断面を見て芯の大きさが大きすぎ小さすぎない
  2. ロースからモモにかけてきめ細かい霜降りが入っている。
  3. 脂を触らしてもらうことがあるのですが、脂が硬くない方が良いです。

逆に、オレイン数値が高すぎると軟脂になりすぎることがあります。ぶよぶよしてカットがしにくく、扱い辛い感じになります。
オレインの数値的にも54~56%ぐらいが丁度良いかと思います。

 

5.お肉についてる印の意味とは?

青い楕円の印の意味は?

こちらは食用のお肉として食べれますよと、鳥取県の検査に合格した印です。
食肉検査場で獣医さんなどが検査をしてOKを出しています。この印があると安全にお肉が食べられますよという証です。
牛肉が楕円、馬が四角、ヒツジは六角など決まりがあります。

上質のお肉の証A5ランクの印

 

いかがでしたでしょうか?

少しマニアック過ぎたかもしれませんが、お客様へ提供するまでの背景の一部、精肉段階での牛肉の見方についてご紹介させていただきました。等級、BMS、オレイン酸含有量、モモ抜けの良さ、このような基準で厳選された肉質の良い肉をあかまる牛肉店では扱っています。そして皆様が食べて幸せなお肉を提供できるように努めております!

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