あかまる牛肉店の樋口です。
みなさんは色々な銘柄牛を食べ比べたことがありますか?
私は仕事柄、色々な銘柄牛を取り寄せて食べています。
銘柄牛は全国でなんと320種類以上もあるそうです!全種類食べるのに1年はかかりますね。
じゃあその違いって何なの?みんな同じなの?と一般的には思われているかもしれません。
この度、あかまるでは神戸牛を取り扱うことになりましたが、それほど大きな違いがないのでは…と当初は考えていました。
けれども、実際に神戸牛の生産者さんに伺ったり、調べたり食べてみるとその違いはハッキリとしています。
今回は神戸牛と鳥取和牛がどう違うのかを書き出してみました。
本日のもくじ
神戸牛と鳥取和牛ってどうちがう?
1.血統の違い
2.エサの違い、飼育月齢の違い
3.味の違いは?
4.実際に食べてみた感想
神戸牛生産者の上田畜産さん
1.血統の違い
<神戸ビーフの血統>
但馬牛の中でもA4等級BMS6以上の厳選された最上級のブランド牛肉が神戸牛です。
但馬牛は兵庫県産のみを歴代にわたり交配し、兵庫県内で生まれ育成された牛です。
他の血統との交配をせずに、但馬牛の血統は守られています。
古くは江戸時代から品質改良が行われ、「霜降り肉」の血統を持つことになりました。また、昭和14年に優れた繁殖力と、
肉質遺伝が特に優れた「田尻」号が誕生しました。全国の黒毛和牛の99.9%はこの「田尻」号の子孫です。
<鳥取和牛は気高号の血統>
オレイン55は気高号の血統
「気高号」は鳥取県産の雄牛です。昭和41年に行われた和牛オリンピックで1等賞に輝きました。その優れた霜降り血統を持つ気高号の血統であることが、「オレイン55」の認定基準となっています。気高号は9,000頭の子孫を残し国内ブランドの始祖としての名を残しています。また2017年の和牛オリンピック肉質日本一に輝いた「白鵬85の3」も気高号の血統です。現在鳥取県では「鳥取県産和牛の保護及び振興に関する条例」が制定。優れた鳥取和牛の遺伝資源を県外で不正流失されないよう、整備が進められています。
2.エサの違い、飼育月齢の違い
<上田畜産さんの神戸ビーフのエサは…?>
上田畜産さんの神戸ビーフでは独自配合の飼料は、そば・ごま・あわなど天然素材を中心にしています。
また栄養バランスを整えるための牧草系のエサなどを使用しています。大変こだわったエサということです。またエサがどんなものを使っているのかを現地で視察して、間違いのないものを仕入れておられます。
<鳥取和牛のエサは?>
エサは農場付近の近隣の農家さんが育てた牧草を使用しています。
またこのほかに配合飼料と呼ばれるコーンなどを混ぜたエサを与えています。シンプルなエサですが、地産地消のエサとなっています。鳥取県北栄町付近の道路を走っていると、牧草を丸めている様子をたまに見かけます。
鳥取の地元の方が作られたという安心感があります。
3.味の違いは?
<上田畜産の神戸牛の場合>
その味はマグロのようなくちどけの良さと、あっさりとした味わいと評されています。これは不飽和脂肪酸、オメガ脂肪酸などが多く含まれる肉質が起因しています。この脂質が溶け出す温度は12.4度と大変低い温度です。
また40カ月という長期肥育をすることで、赤身の部分に味わいが深くなっています。
<鳥取和牛の場合は>
ココナッツミルクのような和牛香と呼ばれているのが特徴です。
特にオレイン酸の数値の改良を目指しています。オレイン酸も不飽和脂肪酸の一種で、オリーブオイルや椿油といった植物性の脂に近い性質を持ちます。こちらの溶け出す温度は16~20度以下といわれています。鳥取和牛の方が高めの温度ですが、体温より低い温度で溶け出すところは共通です。またオレイン酸の数値が55%以上のものをオレイン55として認定しています。出荷月例は28カ月~30カ月で、およそ全国平均です。
4.実際に食べてみた感想
先日、私は上田畜産の但馬牛を使ったビーフシチューをいただいてきました。
ビーフシチューは脂の部分が大めでしたが、非常に食べやすく、もたれにくかったです。
また味わいもまろやかで、あっさりとしていました。
脂の融点が12.4度ということがこの食べやすさを実現しているのでは?と感じました。
神戸牛が海外要人に受けるのは、こうしたあっさり感があるためなのかと思います。
鳥取和牛の場合、味や香り、脂のジューシーさが神戸牛と微妙に違います。
食べなれているせいか、鳥取和牛なら「いつも知っている味」だとわかります。皆さんはどうでしょう??
ぜひその味の違いを食べ比べてみていただけたら幸いです。